腎臓病教室

自覚症状が出た段階で、既に病気が進んでいるのが腎臓病

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慢性腎不全でのために血液透析が必要な患者さんは2001年12月の時点で22万人を超えてしまいました。新規透析導入は33,243名(糖尿性腎症38.1%、慢性糸球体腎炎32.4%)です。大変な数です。何とかして、慢性腎不全にならないようにしましょう。そのためにはどうすればよいか、何を知らなくてはいけないか。少しずつ勉強してゆきましょう

私たちは、当たり前のようですが食べ物を食べないと生きていけません。
何故なら、これら食べ物の成分、すなわち栄養素を知らず知らずのうちに血や肉になったり、 生活するためのエネルギーに変えたりしなくてはいけないからです。 このとき必ず、食べ物のカスのようなもの、つまり老廃物が体の中にできます。
これを"うんち"や"おしっこ"にして体の外に捨てています。 尿は廃棄物のようなもので、腎臓はこれを捨てたり、 捨てやすいように何らかの加工を加える処理工場のようなものです。
だから、腎臓が病気で、うまく働かなくなると、尿が出なくなったり、 出ていてもその中に老廃物を捨てることができなくなり、体の中にたまってきます。
イラスト老廃物は、体にとっては毒素として働くので、 頭が痛い、息苦しい、食欲がない、吐き気がする、体がだるい、足が重いなど、頭からつま先までいろいろな症状が出てきます。 また、老廃物を体の外に捨てるだけが腎臓の仕事ではなく、エリスロポエチンという血液を作るためのホルモンはここで生産されていますし、 骨を作るために欠かせないビタミンDは腎臓がないと本来の仕事をしません。血圧を調節するホルモンも腎臓が作ります。
ですから腎臓が悪くなると、貧血になり、骨がぼろぼろになり、血圧が異常になったりするのです。
イラストところが、ここで厄介なことがあります。
腎臓からの救助信号ともいえる視力障害貧血難聴不整脈むくみどうき吐血下血下痢けいれん皮膚のかゆみなどの症状は、 腎臓がもうこれ以上何をしても良くならない、悪くなるだけという状態にならないと出てこないのです。
このような状態を慢性腎不全といって、血液透析腹膜潅流を一日おきとか毎日というように定期的に受けたり、あるいは、だれかから腎臓をもらわないと生きていけません。こうなるちょっと前まで自覚症状が出ないのです。
今、気楽な気持ちでこれを読んでいるあなただって、実は腎臓が悪いかもしれないのです。
イラストさあ、ちょっと怖くなってきたのではないでしようか? でも大丈夫。きちんと検査を受ければよいのです。 これは腎臓病の早期発見にもつながります。皆さんも、年に一度くらいは検査を受けてください。

血液透析、CAPD、腎移植はここが違う

 CAPDは連続的に毎日4〜5回パックを交換しなくてはいけません。それは、血液透析と比較して、効率がよくないからです。しかし、健康な腎臓と同じように、24時間常に稼働しているので、体調は血液透析に比べて、楽になります。CAPDは心血管系への影響が少なく、透析中に血圧が急激に低下することもありません。腎移植は、免疫抑制剤を飲み続けるという不便さ以外、定期的な透析操作がひつようであるという不都合から解放されます。

また、食事療法も異なります。勿論、慢性腎不全保存期において、もしその患者さんあるいは医療側に透析導入をなるべく先に延ばしたいという希望が特に強く、比較的厳格な食事療法を実行し、透析療法導入後も透析回数を可能な限り減らしたとの希望があるなら、低たんぱく食事療法、減塩食などは、その後も状況を観察しながらですが、程度は緩めても継続することになります。しかし、一般的には透析導入になった場合、食事制限については、血液透析、腹膜透析いずれの場合も軽くなります。但し、食塩制限の場合、血液透析は以前より厳しくはないにしても制限は残ります。腹膜透析の場合は血液透析に比べて、その程度が更に軽くなります。一方、カリウム制限については、血液透析の場合、依然として必要となりますが、腹膜透析では必要なく、むしろ摂らなければいけない状況もあると思います。水分についても同様です。このように食事療法の点では、腹膜透析のほうがより軽い制限で済むのです。これらに対して、腎移植は制限は殆ど無くなります。水分、カリウム、リンはむしろ摂った方が良くなるかもしれません。しかし、糖質、脂質、タンパク質は適量となるよう注意したほうがよいと思います。

 その他、スポーツ、旅行はいずれも可能ですが、過激なスポ−ツは適切ではないし、旅行も自ずと限界はあります。なかでも、旅行は、血液透析はあらかじめ受け入れ可能な透析施設を探しておくことが必要ですし、CAPDは透析液を送っておくなどして準備しておけばどこでも可能です。腎移植はいずれも自由度が高いことは言うまでもありません。  

透析している方、腎移植を受けている方、皆に伝えたい体験談があれば、匿名でかまいません。mailを下さい。
慢性腎不全から腎臓を守るにはリンの制限も大切!!

 低リン食は腎不全の悪化を抑制し、逆に高リン食は腎不全を悪化させることで知られています。ある研究者は、動物(ラット)を実験的に腎不全にし、厳格低リン低蛋白食群リン含有量470ppm;蛋白含有量3.2%、総窒素量0.51%)、中等度低リン低蛋白食群リン含有量900pp蛋白含有量3.2%、総窒素量0.51%)、高蛋白通常食群リン含有量8300ppm;蛋白含有量23.8%、総窒素量3.81%)の3つのグル−プを作って比較検討しています。高蛋白通常食群の血清リン値は、実験開始1時間目で上昇してきます。慢性腎不全の指標であります血清クレアチニン値、尿素窒素値は、実験開始1週目で基準値の2〜2.5倍に上昇しますが、しばらくして、厳格低リン低蛋白食群高蛋白通常食群と比較して、上昇が明らかに抑えられ、腎不全の悪化にブレ−キがかかっているのが判ります。また、血清尿素窒素については、中等度リン低蛋白食群は、厳格低リン低蛋白食群と蛋白含有量としては同じなのに、中等度低リン低蛋白食群のほうが厳格低リン低蛋白食群より高くなっています。これは、リン濃度が中等度リン低蛋白食群のほうで少し高くなっているためで、リンが高いと慢性腎不全が悪化するというこれまでの観察結果を裏付けています。高蛋白高リン食にすると、血清クレアチニン、尿素窒素は、更に上昇し、このような食事にすると、腎不全が悪化するのが分かります。